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おまえはわたしの星だった


2018年の春、親友のが息をひきとった。
それはわたしにとってあまりに衝撃で、衝撃ということばでは言い表せないほど衝撃で、ひどく、つらい知らせだった。



彼女との出会いは大学1年生のころに遡る。
彼女は明るく、前向きで、笑い顔がかわいくて、特別に美しかった。
演劇を通じて彼女と出会えたことは、わたしのちっぽけな人生においてとても大きいことだった。
ほんとうはとても繊細なくせに、つらいくせに、笑ってごまかしたりもするようなずるい女だった。
とてもとてもずるい。ずるい。わたしに黙って、いなくなった。


わたしは彼女が好きだった。
風に揺れる長い長い髪の毛も、舞台に対してとても真摯で情熱を持つその思考も、さっぱりしている哲学も。
きらいなとこなどなにひとつなかった。

どんなときでも堂々と舞台に立つ彼女の姿は、まるで星のようにいつも輝いていた。
飲み会の帰りにふたりで手をつなぎ、適当な鼻歌を歌いながら時々けらけら笑った深夜。
偶然会ったついでにわたしの結婚を報告したひろめ市場の一角。
最後のパートナーとなった清里氏と三人でイタリアンを食べながら白熱した演劇論。
わたしの舞台をサポートするために車で一時間かかる田舎にかけつけてくれた日。
サカナノホネというユニットでの舞台で照明を担当してくれていた日々。
「せりなは絶対、演劇か映像かなんらかの形で作品を作り続けてくれ」と言われたLINE。
みんなが集う飲み会の途中で抜け出して、「オトコに会いに行くからじゃあね」なんて笑われた日もあった。
あのときは「なんだよ、友達よりオトコかよ!」とかちょっと思ったりもしたんだけど、今思えば、あの子がそのとき会いたい人に会いに行ってくれて本当に良かった。
言い切れない、言い表せない、すべて、すべてがうつくしい思い出になってしまった。
思い返せばいつでもあの子は笑顔で、弱音なんかひとつも吐いたことがなかった。
わたしには少しくらい心を開いてよって、ほんのすこし思ったりもした。
でもたぶんきっとこれが彼女の、彼女なりのわたしへの愛だったのだと思う。




すみこ、澄子。なんてうつくしい名前なんだろう。
おまえのためにあるような名だ。
おまえは澄み渡る水のように透き通ったとうめいで、何色にでもなれたし、何色にもならなかった。



実は、たましいの数はそんなに多くはない。
入れ物だけがあふれていて、たまに、本当にたまに、違う入れ物でおなじ魂に出会うことがある。
と、いう哲学をさらっと混ぜて表現した漫画がある。売野機子の漫画なのだけど。
わたしは、いつか彼女とおなじたましいに出会いたい。
違う入れ物でもいい、花でも動物でも虫でも微生物でも良いから、おまえのたましいに会いたい。


ありがとう。
あなたの26年間は、とても輝いていただろう。
やっと少しずつ気持ちの整理がつけられたような気がする。
そうだね、わたしはいつまでも作品を作り続けていくよ。
愛してる。わすれない。




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