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「そして誰もいなくなった」


10/6~7 【Silent】 


「そして誰もいなくなった」
作演出・梅子
音楽・キラークイーン @killerqueen_k (http://killer-queen.jimdo.com/)




続きから、セリフの詳細です。


「おはよう」
「おはよう」
「なんだか元気がないみたいね?」
「ああ…変な夢を見たんだよ」
「ふふふ。どんな?」
「君と遊園地に行く夢」
「すてきじゃない!」
「僕たちは最初、観覧車に乗ったんだ。それで、てっぺんから下を眺めて、人間って小さいねって笑いあった」
「…それで?」
「次にメリーゴーランドに乗ったんだ。君は…黒い馬に乗ってた。俺は、白い馬。なんとか追いつこうとするんだけど、全然追いつけなくて…」
「当たり前よ!メリーゴーランドなんだもん」
「それで最後に、ジェットコースターに乗ったんだ。そしたら君はいなくなってて…俺一人、シートに座った。そしてジェットコースターは動き出す……でも、そのあと…」
「…そのあと?」
「そのあと…、」
「あなたは死んだ」

「あなたはぐるっと回転した所で、まっさかさまに地面に落ちたの。ぐちゃ、て音がして、あなたは死んだ」
「…どうして知ってるんだ?」
「うふふ、だって、わたしがあなたのベルトをゆるめたんだもん」
「わたしがあなたを、殺したんだもん」







「おはよう」
「…、おはよう」
「なんだか元気がないみたいね」
「ああ…変な夢を見たんだよ」
「どんな?」
「君に殺される夢」
「あはは!素敵じゃない」
「素敵なもんかよ!恐ろしい夢だ」
「あなた最近疲れてるのよ。最近仕事が忙しそうだったし。今日はゆっくり休んで。お茶を淹れてきてあげる」
「ありがとう……ねえ、今日はずっと一緒にいられる?」
「……ごめんなさい、あの人のところへ行かなくちゃ」
「今日ぐらいいいだろ、一人になりたくないんだ」
「でもあの人、一人じゃ何もできないから…、」
「今日だけでいいから!」
「……ごめんなさい、あの人、眼が見えないから…心配なの」
「…わかったよ。浮気相手のくせに、わがまま言ってごめん」
「そんなこと言わないで!…あなたも愛してるの」
「…じゃあ一緒にいてくれよ」

「一緒にいてあげるわ」
「眼が見えないなら夢を見ているのと同じなの」
「…どうして?」
「何ひとつ実感できないからよ。見えているものがすべて」
「…触れられるものは?」
「すべて嘘よ」








「おはよう」
「おはよう…」
「なんだか元気ないみたいだね」
「変な夢を見たんだよ」
「へえ。どんな?」
「あいつがお前と浮気してる夢…」
「そりゃすげえ!で、どうなった?」
「なあ…、お前、浮気してないよな?」
「ふはは!そんなわけないだろ!」
「…よかった……、なあ…俺って生きてる?」
「あはは、生きてんじゃん!心臓動いてんだろ」
「……わからない」
「…じゃあ、確かめてみる?」
「どうやって?」

「死んでみるんだ」
「…、」
「あははは!お前は生きてるし、俺はあの人と浮気なんてしないよ!」
「あ、ああ…ごめんごめん…」

「あれ、お前それ…どうした?」
「え?」
「手…真っ赤じゃないか」
「あー……これね」

「殺しちゃった」
「…え、?」
「だって俺のものになんないんだもん」
「……だれを?」
「母さん」

「お前の母さん。きれーな女」









「おはよう」
「……おはよう、」
「なんだか元気がないみたいね」
「ああ…変な夢を見たんだ」
「どんな?」
「母さんが殺される夢なんだよ!」
「…ひどい夢ね。おそろしい」
「頭がおかしくなりそうなんだ!」
「…最近ねむれないの?」
「ねえ…、ずっと俺の傍にいてくれる?」
「ええ!もちろんよ!」
「本当に?」
「ええ!……だって、あたしあなたに殺されたんだもの」
「……やめてくれよ!」
「ずーっと傍にいるわ」
「もうやめてくれ!!これも夢なんだ、きっと夢なんだ…!」
「夢は覚めるから夢なのよ。覚めなければ、これは現実」
「うるさい、うるさい!!」
「だって……見てよ、あなたの手。…真っ赤」
「……そんな…、」
「ずーっと、ずーっと、ずっとずっとずっとずーっと一緒ね」

「でも君は母さんじゃない…、」
「……あなたの母さんはもういないわ!」








「おはよう!」
「僕は僕なんだろうか」
「確かめてみたらぁ?」
「どうやって?」
「あらゆるものにはあなたの意識が生きているのよ」
「ああ…じゃあこれも夢なのかな」
「だったら!あなたが死んだら世界は終わるわね」
「…そんなはずない。僕の意識と世界は違う」
「いいえ!世界にはあなたの意識だけが存在するのよ!」
「ははははっ!もうわけがわからないよ母さん!」
「……それが真理ね」





「おはよう」
「眼が覚めたら僕は僕じゃなった」
「じゃあそっちが夢ね」
「わからないよ」
「はははははっ!あはははっ!…誰かが笑ってるわぁ」
「笑ってるのは君だろう!?」
「私にオレンジをくれる?」
「…これが夢じゃなければね」
「あの壁の色は何?」
「白だ」
「黒よ」
「何を言ってるんだ!?」
「あなたとわたしの見えている世界は違うということよ」

「じゃあ…じゃあ母さんは?」
「……もういないわっ!あははははっ!」






「おはよう」
「母さん僕は頭がおかしくなりそうなんだ!」
「ナダルとフェデラーが同じ人間ということに気付いてる?」
「そんなはずない」
「すべては想像。ジョコビッチがベンチを壊したことだけが真実だわ」
「だったら僕も想像か!?」
「あなたはすべてに同意を求めるのね。だいじょうぶ。みーんなあなたの味方よ」
「そんなはずない!」
「誰もあなたを否定しないわ、素敵な世界でしょう?」
「…そんなのはこわい」
「わがままね、もう石は転がってしまったわ」

「ジョン・レノンが死んでも平和は生きているでしょう?つまりはそういうことよ」
「…平和ばかりじゃない」
「ヨーコとポールが結婚すればなくなるかもねぇ?」
「だったら僕はオードリー・ヘップバーンと結ばれるよ!」
「ヘップバーンに休日なんてなかったのにねえ」


「君は現実なのか?…それとも夢?」

「…、さあね。……でも、あなたはここに居る」















「僕はひとりぼっちだ」

























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